- 作者: ジョングリシャム,John Grisham,白石朗
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1992/07
- メディア: 単行本
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しかしそんなミッチへ、FBIのウェイン・タランスが接触してくる。その事務所では、過去に5人の弁護士が不慮の事故死を遂げていた。そしてミッチは真実を知らされる。この事務所は、マフィアであるシカゴの犯罪組織、モロルト・ファミリーの脱税やマネーローンダリングを請け負うのが本当の仕事だったのだ。エージェントはミッチに捜査協力を要請される。ミッチはFBIを選択するのか、現在の高収入を得られる犯罪者への荷担を選択するのか。
1991年3月、出版と同時にベストセラーとなり、グリシャムを一躍人気作家に押し上げることとなった作品。年間41週にわたってベストセラーにランクインし、トム・クルーズ主演で映画化もされた。1992年7月、翻訳。
昔購入したまま、ダンボールの奥底に仕舞ってあった一冊。ベストセラーになっていたことは知っていたし、評判も聞いていたけれど、そうなるといつか読めばいいやと思ってしまう悪い癖が出てきて、今頃読むような結果となってしまった。
こうして読んでみると、弁護士を主人公としていながら法廷シーンは全くなく、マフィアとFBIの双方と対峙する若き弁護士とその妻たちの活躍を書いたサスペンスであり、その息詰まる展開とミッチの頭脳に感心してしまった。なるほど、これだったら全世界でベストセラーになるわけだ。登場人物それぞれの描写も悪くなく、双方の思惑も過不足なく描かれており、互いに相手の手を読み合うストーリー構成もお見事。最後の逃走劇に関しては、追う方にもっと巧い手配があったんじゃないかと思うのだ、些細な話だろう。
ただ読み終わると、後に残るものはほとんどない(ベストセラーってそんなものも多いが)。面白かったで終わり、1ヶ月も経つと忘れてしまうような作品かも知れない。
こういう作品を読むと、アメリカの弁護士に正義も何もあったもんじゃないと思ってしまいたくなるが、日本でもそれはそんなに変わらないのかも。まあ、収入は段違いだろうが。