平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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網本善光・南一平『岡山ぶらりスケッチ紀行』(日本文教出版岡山 岡山文庫)

岡山ぶらりスケッチ紀行 (岡山文庫 272)

岡山ぶらりスケッチ紀行 (岡山文庫 272)

ともに笠岡市に住む二人が、笠岡や井原線、そして金田一耕助の舞台となった場所を文章とイラストで紹介。

中国新聞で連載されたみちくさ紀行シリーズ、「鴨方往来笠岡路」(平成11年5月〜11月)、「井原線各駅停車」(平成12年8月〜12月)、「金田一耕助の影を追って」(平成15年8月〜平成16年5月)のシリーズ3本をまとめ、2011年6月に刊行。



網本さんは岡山で行われる横溝正史関連のイベントに金田一耕助のコスプレで登場し、その軽妙な語り口で楽しい案内を行っている。トークショーなどでも、現役の作家とともに横溝ワールドを語る、四十年以上の横溝ファンである。新聞や雑誌、テレビなどにもコスプレ姿で登場しているので、そちらの方で見られた方がいるかも知れない。『横溝正史研究』などにも執筆されているので、知っている方もいるだろう。

本書はそんな網本さんの暖かく優しい視線の文章と、同じく岡山に在住する漫画家の南一平さんによる柔らかいタッチのイラストで綴られる紀行文である。

新聞連載ということもあり、それぞれの文章がちょっと短いことは残念なのだが、お二人の人柄がそのまま伝わってくる素敵な文とイラストが、読者の心を優しく包み込んでくれる素敵な一冊である。

横溝ファンなら、「金田一耕助の影を追って」を是非読んでもらいたい。岡山県を舞台とした金田一作品のすべてが描かれている。あのとき読んだ、金田一耕助の姿が、現場の風景が、再びあなたの脳裏に浮かんでくるはずである。