平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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藤子・F・不二雄『大長編ドラえもん』第4巻(小学館 藤子・F・不二雄大全集)

大長編ドラえもん 4

大長編ドラえもん 4

藤子・F・不二雄大全集第3期第4回配本の一冊。大長編ドラえもんのうち「のび太の日本誕生」「のび太とアニマル惑星(プラネット)」「のび太ドラビアンナイト」を収録。
のび太の日本誕生」は映画10周年目ということで、初めて藤子・F・不二雄総指揮で公開された作品。漫画の方もかなり力の入ったものとなっているが、前半に色々詰め込みすぎて、後半が駆け足になった印象がある。「のび太とアニマル惑星(プラネット)」は進化した動物たちが住むユートピアが描かれているが、行き過ぎた文明への警鐘という視点が強く出過ぎて従来のドラえもんとのバランスが取れていない。「のび太ドラビアンナイト」は、原作にドラえもんが入ったらどうなるかといった作品であるが、それでしかない作品。
病後の三作品であるが、いずれも過去の作品に見られた、いい意味での余裕や遊びが見られなくなっている。力が入りすぎたのか、それとも自分に時間がないという作者の焦りなのか。ドラえもんがコテンパンにやられてしまうシーンも目立つ。作者自身ももどかしさを感じていたのではないだろうか。