女性2人同時受賞は史上初、などと出版社が騒いでいるが、男女同権のこのご時世でそんなことを言ってもかえって白けるだけだと思いながら購入。受賞作は気に入ったものを手に取るようにしているが、乱歩賞は別格で、どんな作品でも買って読むようにしている。さて問題は、第8回のように受賞に相応しいのか、第36回のように二作合わせて一本というような悲しい出来なのかということである。
二作読み終わったが、今回はどちらも満足できる仕上がりだった。傑作とまではいかないが、『よろずのことに気をつけよ』は佳作といっても良いだろう。『完盗オンサイト』も完成度は今一つだが、乱歩賞をもらってもおかしくはないと言うだけのパワーを感じさせる作品だった。