- 作者: 佐々木丸美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1987/05
- メディア: 文庫
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1979年2月、講談社より刊行。1987年5月、文庫化。
『雪の断章』『忘れな草』の姉妹編で、「孤児四部作」の三作目。四作目は『風花の里』。『雪の断章』の飛鳥、『忘れな草』の葵と続く本作品の主人公は昭菜。メルヘンチックで、時折詩情を挟むような文章は変わらない。また例によって禾田氏が黒幕として存在するところもいっしょ。北の街で、複雑すぎる一族の感情が絡まりあうところも変わらない。そして、物語の流れを削ぐような説明を省き、ともすれば読者を置いてきぼりにするぐらいの展開で物語が進むところも変わらない。だから、作者のことが好きな読者でないと、この作品についていけないことも事実。前作よりは読みやすかったが、それでもしんどいことには変わりない。
ファンタジーといってしまえばそれまでなんだが、読んでいてもつらいなあ。それにしても奈津子の設定なんて、『雪の断章』の頃から頭にあったのだろうか。酷いと言ってしまえばそれまでだが。