- 作者: 高嶋哲夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/03/10
- メディア: 文庫
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1999年、サントリーミステリー大賞及び読者賞受賞作。
ITや原発など、ハイテク関連を先取りしたような作品。日本原子力研究所研究員という作者の経歴を見れば納得なのだが、結局自分の持っている知識を組み合わせて作品を作ったという印象しかない。色々と過去を持った割には登場人物が単なる人形にしか見えてこないのはまだしも、その行動原理までもが人形のようにカクカクとしか動かないのはどうか。特に主人公の家族が傍観者状態になっているのは、もう少し何とかしてもよかったのではないかと思う。作品の内容としては、作者自身の過去を否定するなよ、と言いたい(笑)。まあそれはともかく、単純な裏しかなかったのはちょっと幻滅。もう少しひねりがほしかった。それと、中越沖地震などがあっても、日本の原発そのものがおかしくなったわけじゃないんだよ、と一応言っておく。
結局題材だけの作品。選び方は悪くなかったと思うけれどね。