- 作者: 増田美智子
- 出版社/メーカー: インシデンツ
- 発売日: 2009/10/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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自分の取材を受けようとしない弁護団を作者は攻撃しているが、非難を浴びる事件の弁護人ともなれば、マスコミの取材を、ましてや無名ライターの取材なんか断るのが当然だろう。そんな当たり前のことも考えず、自分だけはほかのマスコミと異なり真実を追究している、Fを助けようとしているんだという思いこみで取材を続け、断られては憤慨する筆者の姿は滑稽としか言い様がない。
この本を読み終わっても、実名を出す必然性はまったく感じられなかった。事件そのものはともかく、その名前まで覚えている死刑囚を筆者はいったい何人いるのだろうか。だったら匿名でも構わなかったと思う。なぜイニシャルや仮名ではいけなかったのか。やはり売名行為でしかなかったのか。報道やこの本の文章から、筆者は思いこみの激しい人物のように思えるし、自分の思い通りにならないと激昂するタイプのように感じられる。
まあ、被告側の立場にありながらも、弁護団とは別の立場にある一介の市民がまとめた本として、このような意見もあるよ程度の一冊にはなっているのではないか。読む価値は殆どないが。〜を殺して何になる、などと書くぐらいならせめてその答えの一つぐらい書いてほしいものだ。
ついでに書くけれど、死刑と「殺す」は別物だからね。作者は勘違いしないように。