- 作者: H.C.ベイリー,H.C. Bailey,藤村裕美
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2000/08
- メディア: 文庫
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1942年作。2000年翻訳。ジョシュア・クランク弁護士シリーズの長編第7作。
H・C・ベイリーといえばフォーチュン氏しか知らない。言語が難しくて翻訳しにくいと書かれていた記憶があったか、本作を読んでもよくわからない。ただ、小説や劇などからの引用が多いから、調べる方は大変だろうなとは思った。
内容としては正直微妙。事件が起き、容疑者から依頼を受けたクランク弁護士が死因審問で無罪を勝ち取るまではわからないでもないのだが、そこから部下のホプリーを派遣してその町に住まわせ、1年近く人間ドラマがが描写されるという展開は、読んでいてもやっぱり退屈。最後に浮かび上がる犯人像から作者の意図を推察するしかないのだが、ここまで来るともう作風としか言い様がないんだろうな。クランク弁護士シリーズってみんなこんな作品なのだろうか。確かにこれだったら、日本の読者には受けないだろうと判断されてもおかしくないかも。
訳者あとがきで、クランク弁護士やこのシリーズの背景を初めて知ったのだが、これは先にこの背景を知っておくべきだったのかなと思ってしまう。クランク弁護士というキャラクターも好きになれないな。何を考えているのか、さっぱりわからない。よりによってなぜ第7作を訳したのだろう。やはり最初から訳すべきだったのではないだろうか?
クランク弁護士シリーズは1930年から1950年まで長編計11冊が執筆されている。最後の長編"Shrouded Death"は遺作らしい。クランク弁護士シリーズに限らず、ベイリー作品はこの後も全く訳されていない。やっぱり訳すのは難しいんだろうか。それとも日本受けしないと思われているのだろうか。