- 作者: トムクランシー,井坂清
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1987/09
- メディア: 文庫
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ソヴィエト軍精鋭部隊の西ドイツ侵攻、そしてアイスランドへの奇襲上陸によってG‐I‐UKラインを押えられたNATO軍は思わぬ苦戦を強いられるが、反攻のキー・ポイントは意外なところにあった。幻の戦闘機ステルス、ミサイル、戦車、潜水艦…核兵器を除くあらゆるハイテク兵器の動員される現代戦をリアルに描いた超話題作!(下巻粗筋より引用)
『レッド・オクトーバーを追え』に続く超大作。1986年に刊行後、ベストセラーリストに長く座り続けた大作。1987年9月、文春文庫より刊行。
『レッド・オクトーバーを追え』が面白かったから購入していたのに、それから20年近くダンボールの底に放置したまま。買っていたことすら忘れていた。それ以前にレッド・オクトーバーすらあまり思い出せない体たらくぶりだが。
当時のハイテク兵器を総動員した戦争ものということで期待していた。戦争が始まる前、ソ連が遭遇した危機と戦争に至るまでのやり取り、さらにソ連側の情報を入手し真意を探ろうとするアメリカ側の情報戦などは面白かったのだが、いざソ連とアメリカ、NATO軍との戦争が始まってしまうと、ページをめくるペースが格段に落ちてしまい、読み終わるのが苦痛だった。陸海空に至る兵器のみならず、戦争を指揮する上層部、前線で指揮する上官、兵器を動かす軍人、そして歴史に名を残すことはないであろうと思われる軍人まで敵味方問わず細やかに描写されており、その丁寧さは評価できると思われる。それぞれを細やかに書いているが、物語のテンポ自体も悪くない。しかし自分はなぜ乗り切れなかったのか。筆を通して見えてくる軍人礼賛が苦手だったのかもしれない。祖国のために戦う軍人の姿をリアルに書くのはわかるのだが、娯楽作品でここまで露骨に書かれるのは、戦争そのものが嫌いな自分にとってはどこか反発してしまうのかもしれない。もちろん、作者にしろ登場人物にしろ、戦争を好き好んで行っているとは思わないが。
既にソ連が崩壊してから20年近くも経っているこの時代に読むのもどうかと思ったが、それほど古くさいとは感じなかった。それは門外漢とはいえ、ソ連崩壊の時代を知っていたからだろう。
ソ連が戦いを仕掛けるまでは色々な思惑が渦巻いていて面白かったのだが、実際に戦いが始まると、場面の切替が早いし、登場人物は多いしで展開に追いつくのがやっと。それに、実際の戦争シーンそのものが面白くない。局地戦を描いたものは好きなのだが、どうもこういう風に多くの国を巻き込んだ本格的なものは、生理的に好きになれないようだ。
クランシーってアメリカ礼賛の作風だと思っていたけれど、意外にソ連側の描写もまともだったな。