- 作者: 草野唯雄
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1987/12
- メディア: 文庫
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
人間の愛憎を中心に、いりくんだ謎を描ききる長編推理。 (粗筋紹介より引用)
1985年カドカワノベルズより刊行。1987年12月、角川文庫で文庫化。初出は不明。
千街晶之が読売新聞で「百人中九十九人は犯人を当てられない。「こんなのありか?」と唖然とした」と書いたせいか、一時期ヤフオクなどで急騰したらしい。私はそんな騒動が起きる前にブックオフから105円で購入していました。なぜ買ったのかは記憶がありませんが。
粗筋だけ読むと普通の作品。元会社社長で多額の資産を持つ男が愛人とともに殺された。炎上するクルーザーの部屋は外から掛け金がかかっていたので、殺人事件として捜査が始まる。残された証拠品から男の後妻が逮捕されるが、別居している女の娘が恋人とともに事件を追う。
一昔前の推理小説ならよくあるストーリー。冒頭で出てくる意味のないエロシーンや、いい年をした大人の恋人たちなのに1年経っても未経験というのはよくわからないが、普通といえば普通のストーリーだろう。
しかし、終盤の展開は確かに唖然とする。裁判が始まってから、被告人の無罪を立証するような証拠が出てくるのはまだわかるが、簡単に裁判が終わって、警察が簡単に捜査を始めるというのもどうかと思う。しかも自分たちの捜査結果を覆した恋人たちと手を組むし。警察のプライドがないのかね、彼らは。
さらに唖然とさせるのはトリックの部分。実行可能なのか、これ。おまけに犯人も意外といえば意外だが、読んだ瞬間脱力すること間違いなし。高い金を出していたら、「金返せ」と言いたくなる、絶対。
ということで、間違いなく「ダメミス」。話のネタにしたいという人以外には、読む必要がありません。
どうでもいいが、ミスター梅介の飲酒運転ネタをマジに書くなよ。