- 作者: 高木彬光
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/08/01
- メディア: 文庫
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「週刊スリラー」1959年5月1日〜1960年4月22日まで「黄金の死角」というタイトルで連載。1960年6月にカッパ・ノベルスから出版された。
高木彬光はミステリの様々なジャンルにおいて代表作といえる作品を次々と書いていったが、本書は悪党犯罪小説のジャンルに燦然と輝き、50年近く経った今でも全く色褪せずに光っている一冊である。
戦後の光クラブ事件をモデルにした舞台から始まっているから、時代背景としては相当古いものであるが、この現代で読んでみても、古いと感じさせる部分は全くない面白さである。
冷徹な頭脳と、法律の知識を駆使し、次々と完全犯罪を成し遂げていく鶴岡七郎。警察や検察、さらには暴力組織と対峙しても堂々と渡り合うその姿に、読者は拍手喝采を送るだろう。
まあ、今更ここにくどくど書かなくても、誰もが知っている名作だし、自分もいったい何回読んだかわからないぐらい面白い作品なのであるが、本書は鶴岡七郎のモデルになった人物を語ったエッセイが収録されているので、興味のある方はぜひ読んでほしい。
HPを初めてすぐの頃だが、『白昼の死角』のモデルが実在するという話は本当か、というメールを頂いたことがあった。自分は一介の素人だし、特に経済事件がらみはほとんど知らない。何人かに訪ねてみたのだが、そうらしい、という程度のことしかわからなかった。モデルが実在するということがわかったのはとても嬉しいが、調べようにも名前がわからないので調べられないというのがとても残念である。時間ができたら、一度追ってみたい人物である。