- 作者: 山田風太郎
- 出版社/メーカー: 出版芸術社
- 発売日: 2003/02
- メディア: 単行本
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さらに幻の少年向け連作『夜の皇太子』を特別収録した決定版!(帯より引用)
香山滋・島田一男・山田風太郎・楠田匡介・岩田賛・高木彬光「白薔薇殺人事件」。
江戸川乱歩・角田喜久雄・山田風太郎「悪霊物語」。
角田喜久雄・山田風太郎・大河内常平「生きている影」。
山田風太郎・島田一男・岡田鯱彦・高木彬光「十三の階段」。
島田一男・香住春吾・三橋一夫・高木彬光・武田武彦・島久平・山田風太郎「怪盗七面相」。
山田風太郎・武田武彦・香住春吾・山村正夫・香山滋・大河内常平・高木彬光「夜の皇太子」。
以上、6編を収録。
ファンでも何でもないのだが、時々買っている山田風太郎。このコレクションも3冊ともすぐに買った。しかし、この本だけは読む気にならなかった。収録作品を見ればわかるとおり、すべてがリレー小説。解説で日下三蔵が「無論、ミステリを複数の作家で書き継ぐ場合、辻褄が合わなくなる可能性は飛躍的に増大するから、これは一種のお遊びとして考えられていたようだ。しかし、作者自身が次にどうなるかわからない状況で書く、という変則的な状況が、読者にとっても一種異様なサスペンスを生み出すこともあり、一概に読む価値なしと断ずることはできない。むしろ、ミステリ・ファンにとっては、他の書き手とのセッションの中で、その作家がどんな「芸」を見せてくれるか、という興味の方が大きいだろう」と書いたとしても、やはりリレー小説はお遊びの要素が強すぎ、作家の苦労ほどは面白いものに出会えない、というのが本当のところだろう。
ということで、リレー小説を読もうという気は全く起きなかったのだが、一応買っていたのだからととりあえず読んでみた。「悪霊物語」だけは春陽文庫の方で読んでいるので、再読。
面白かったのは「怪盗七面相」。これは設定だけがリレーになっており、各作家で事件の発端から解決までが書かれるから、どちらかといえば読み切り連作に分類される作品である。それぞれの作家がシリーズ探偵を登用しているから、ファンサービスとしても十分な出来になっている。
あとはそれぞれの作家が書いた神津恭介を楽しめる「十三の階段」が趣向として面白い程度か。
まあ、作品そのものを楽しむのではなく、各作家のお遊び精神を楽しむ作品集だろう。