平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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井上ほのか『アイドルは名探偵』(講談社X文庫)

アイドルは名探偵 (講談社X文庫―ティーンズハート)

アイドルは名探偵 (講談社X文庫―ティーンズハート)

私、八手真名子、14歳。アイドルやってます! ナマイキッとか、ワガママッとか、いわれてるけど、いいじゃない。おシゴト楽しいし、人気だってスゴイんだもの。こんどだって大作映画に出演することになって、ハリきってたら、主役争いがもとで、候補の一人、竹崎さんが殺されちゃった! 真名子のとこにも脅迫状が……。ドッキーン! ……こうなったら、ナマイキボーイの克樹を付き人兼探偵助手にして、犯人探し始めちゃおーか!?(粗筋紹介より引用)

1988年書き下ろし。井上ほのか、デビュー作。



歌野晶午法月綸太郎がデビューした頃、島田荘司が巻末に推薦文を載せていた。“新本格”という言葉が生まれた頃である。その頃、島田荘司が彼らと一緒に名前を載せて期待していたのが、井上ほのかだった。そのせいで気になって、買っていたんだろうな。しかし、読んだ記憶は全くない。もう一つの「少年探偵エディ・セロル」シリーズの方は読んでいるのだが。実家の本棚を整理中に出てきたので、読んでみることにした。

14歳のアイドルが名探偵という、当時のジュニア小説にはありがちな設定(今でもか?)。連続殺人を犯すにしてはやや弱い動機(こういう動機があっても不思議ではないが)ではあるが、当時にしてはなかなかのトリックじゃないだろうか。

今ではすっかり消えた作家扱いになってしまった井上ほのかであるが、当時のジュニア小説にも、こういう本格ミステリがあったということは覚えておいてもいいだろう。