平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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加藤元浩『Q.E.D―証明終了―』第28巻(講談社 マガジンコミックス)

Q.E.D.証明終了(28) (講談社コミックス月刊マガジン)

Q.E.D.証明終了(28) (講談社コミックス月刊マガジン)

MITを15歳にして卒業した超天才児、燈馬想が水原可奈とともに様々な事件の謎を解き明かす人気シリーズ第28巻。エジプト、ミイラの発掘現場で続いた不振な事故の謎が置き、代わりに燈馬が調査を始める「ファラオの首飾り」。民俗学者から見せられた絵と、人格が変わってしまった花火師の接点を探るうちに出会った過去の殺人事件、そして新たな事件の謎を解く「人間花火」。
「ファラオの首飾り」では女性のミイラの装飾品の鑑定人として、エジプトに来ていた榊森羅が七瀬立樹とともに登場。『C.M.B.』ではそれなりに共演部分のページが割かれているが、こちらはほんの少し。このMIXプロジェクトは、人気が今一つ(と勝手に想像)の『C.M.B.』に対するてこ入れだったのか、それとも単なる作者のお遊びだったのか。
「ファラオの首飾り」だが、事件の謎そのものはあっさりめ。『C.M.B.』へ絡めるためにエジプトを舞台に設定し、なんとか事件の謎をひねり出した、というところか。ただ、可奈の最後のセリフはなかなか。
「人間花火」はどちらかといえば珍しい心理サスペンス風の作品。花火に人間をくくりつけて爆破させるという、本作品にしては珍しい、妖しき美の殺人事件(殺人に美なんて書くこと自体が間違っているんだが)を取り扱っている。また「ツポビラウスキー症候群」という病気をうまく扱った、ダークな結末はお見事。「闇を殺すには、名前を与えてやればいい」「すぐ側に死があるから世界は美しい」など、引きずり込まれそうなセリフが山盛りの、異色作品である。
馬鹿馬鹿しいことだが、安藤医院の元医師と娘婿、顔が同じだぞ。血のつながりがないとは、とても思えない。