平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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横山光輝『夜光島魔人』(講談社漫画文庫)

夜光島魔人 (講談社漫画文庫)

夜光島魔人 (講談社漫画文庫)

山形三郎と兄の武は、海岸を散歩中、殺人現場を目撃する。そこには、空を飛んでいくアカエイの姿があった。さらに二人は、撮影した写真をネガごとアカエイに奪われてしまう。他の刑事たちはアカエイのことを信じようとはしなかったが、村雨刑事だけは二人のことを信用した。三郎と武は海岸を捜査中、アカエイにさらわれてしまう。二人が連れて行かれたのは、夜光島だった。「夜光島魔人」。

13番惑星には美しい花もきれいな湖もある。しかし、調査に行った人たちは誰も帰ってこない。そして今回、10回目の調査団が派遣されたが。「13番惑星」。

有名な拳銃使いのギャレットが、草木も生えなくなった牧場の土地を売ってほしいとやってきた。持ち主のボップスはその申し出を断ったが、その晩、牛泥棒が現れた。「黒い沼地」。

ポー「アッシャー家の崩壊」を漫画化した「死の館」。

長編「夜光島魔人」ならびに扉絵ギャラリー、そして短編3作を収録。

横山光輝の未単行本作品を積極的に文庫化している講談社だが、今回は1960年に「たのしい4年生」(講談社)に連載された少年SF冒険作品を収録。さらにSF、西部物、少女サスペンスの3短編を収録。
「13番惑星」と「死の館」は同人誌の復刻物で読んだことがあるが、残り2作は初めて読んだ。「夜光島魔人」には、『鉄人28号』にも登場したアカエイが出てくるが、同じ正体としなかったのは当然とはいえさすがというところ。掲載誌を考え、少年を主人公に据え、大人のバックアップを受けながら最後は宇宙にまで飛び出して事件を解決するところは、単純かもしれないが当時の小学生には受けたことだろう。この頃に連載された作品のほとんどは、横山作品に限らずまとめられないことがほとんどなので、できれば今後もこうして一冊にしてほしいところであるのだが。
短編3作品の中では、当時としては秀逸なアイディアだったと思われる「13番惑星」が一番面白い。