平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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横山光輝『鉄人28号』第24巻(潮出版社 希望コミックススペシャル)

不朽の名作第24巻は、最終話であるギャロン編。さらに「中一時代」「たのしい幼稚園」「少年ジャンプ」に掲載された短編。そしてソノシートに描かれた2編を収録。
ギャロン編は、世界統一を目指すブラック団が登場するのだが、このブラック団が少々間抜け。敵ロボットであるギャロンの倒し方も、過去の作品の焼き直しであるし、終わり方もかなりあっさりめ。掲載誌である「少年」が休刊するという事情もあったのだろうが、作者自身のあとがきにもあるとおり、鉄人も作者もくたびれてしまったんだろう。ギャロン編では、大塚署長の妻が初登場。それがサプライズといえばサプライズか。
「中一時代」「たのしい幼稚園」に掲載された短編は他愛もない作品。絵だけを見ると、作者が描いたとはあまり思えない。
「少年ジャンプ」に掲載された作品は、ヒーローその後みたいな企画の一編だったと思う。完結から10年後に描かれたということもあるだろうが、敷島博士も正太郎も絵柄が違いすぎる。作品内容も、どことなくシニカルな雰囲気が漂い、完全無欠の正義ものというイメージがやや崩れてしまっている。
ソノシート2編は、作者にしては珍しい絵物語。収録されたこと自体が嬉しい、お宝ものである。