- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2006/06
- メディア: 文庫
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1992年、第45回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞作。
久々の再読。この全集が出なかったら、再読することはなかっただろう。そのせいかもしれないが、前半部分はほとんど忘れていた(単に自分が忘れっぽいだけ?)。
この後も傑作、話題作を次々産み出していく作者にとって、本作品はその華麗なるキャリアの初期に書かれた傑作である。そして面白さは、いつの時代に書かれた作品であろうと変わらない。高いレベルを維持する秘訣とは何なのだろうか。
超能力という異形の力を持つ少年たちの苦悩。そして異形の力を持ち合わせることによる周りからの偏見や異端視。そして周囲の人たちを巻き込んでしまう不幸な出来事。超能力ものではありきたりな展開なのだが、それでも最後まで面白く読ませてしまう力には脱帽してしまう。
ありきたりな材料を、ありきたりな舞台の上で、ありきたりな言葉を使いながら、一流の料理に仕上げてしまう。やはり宮部みゆきは凄い作家である。