平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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愛田真夕美『マリオネット』第1巻(白泉社文庫)

マリオネット (第1巻) (白泉社文庫 (あ-4-1))

マリオネット (第1巻) (白泉社文庫 (あ-4-1))

魅入られたものをすべて死の淵へと誘う美しき少年伯爵ダニエル。退廃と背徳、情念と官能… ミステリアスで幻想的なゴシック・ロマンの名作、完全復活!(帯より引用)
いやあ、久しぶり! 花とゆめコミックスの最終巻が出たのが1989年? それにしても懐かしいわ。リアルタイムに近い状況で読んでいるから、20年以上も前になるのかな。初期の頃は特に凄い。近親相姦、性行為当たり前。策略、殺人、悪魔信仰など衝撃的な内容が多かった。これが少女漫画で普通に連載されていたとは、今考えると結構凄い事じゃないかと思ってしまう。
個人的には、初期の悪魔的なダニエルの方が好きかな。後の「カシスの庭」「黒のコレット」あたりになると、ダニエルがいい人に見えてしまうので、人間的には確かに深みを増したといえるが、やはり「魔性の少年」ぶりを発揮し、、伯爵家の財産や地位を狙ってきた人たちをすべて破滅へ追い込んでしまうダニエルの方が魅力的である。
単行本では別の巻(『とっておきのABC』第1巻)に収録されていた幻の第1話を含む短編4本。そして長編「ガラス細工の森」の途中までが本書では収録されている。ゴシック・ロマンが好きなミステリファンにもお勧め。