- 作者: 都筑道夫
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1980/10
- メディア: 文庫
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ところが、この元刑事、何気なく話しているうちに縺れた事件を整理し、妙に推理が冴えわたる。
著者自らが自分の代表作と認める本格的安楽椅子探偵小説。(粗筋紹介より引用)
「写真うつりのよい女」「妻妾同居」「狂い小町」「ジャケット背広スーツ」「昨日の敵」「理想的犯人像」「壜づめの密室」の7編を収録。1973〜1975年、「問題小説」「別冊小説新潮」「小説CLUB」に発表。1975年にトクマ・ノベルズでまとめられた作品の文庫化。
はい、都筑の代表作をまだ読んでいませんでした。ごめんなさい(って、誰に謝っているのだ? 別に謝る必要はないのに)。なるほど、西澤保彦が好きそうな作風だわ、というかウサコシリーズの短編って、ほとんど退職刑事と一緒じゃないか。ここまで推理の展開が似ているとは思わなかった(こう書くことで、ヤッフェも読んでいないことがわかりますな)。
父子の会話は読んでいても退屈なのだが、それでも事件を語り出すと物語にのめり込んでしまう。父親が繰り広げる推理は、偶然と強引さがちょっと目立つのだが、それでも話の流れがいいから納得させられてしまう。このあたりは、落語の流れに似ているね。
個人的ベストは、上着を着ながら上着を二着手に持っていたという「ジャケット背広スーツ」になるかな。
二作目を読もうという気が起きないところが、私の好みを物語っているよな。面白いかと聞かれれば面白いと答えるんだが、それ以上に残るものが全くない。