- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/08/25
- メディア: 単行本
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数日後、顔と指紋を焼かれた死体が見つかった。身元判明までに時間がかかるかと思われたが、燃やしきれなかった衣服などから死体は富樫とわかり、警察は元妻である靖子のところへ訪れた。美里と映画、カラオケに行っていたとアリバイを答える靖子。捜査陣は靖子が犯人ではないかと疑うが、決め手は見つからない。
捜査に加わっていた刑事の草薙から、大学の同期である石岡の存在を知った湯川は石岡の元を訪れ、50年に1人の逸材を呼ばれた彼の頭脳がいささかも衰えていなかったことを知る。
石神がもくろんだ完全犯罪に、探偵ガリレオと呼ばれた物理学者湯川が挑む。
「オール讀物」2003年6月号〜2005年1月号に掲載。
数ヶ月前に読了していたのだが、例の騒動が起きたので読み返しているうちに、何となく感想を書く時期を逸していた。今更ではあるが、簡単に感想を。
倒叙形式を用いた、本格ミステリの傑作。伏線もしっかり張ってあるし、手がかりも読者の目の前に表示されている。無理な飛躍をすることなく、提示されたデータで犯人のトリックまでたどり着くことも可能。これだけ書かれてあって、本格ミステリでないと書く方が不思議だ。
シンプルなトリックでも、見せ方によってはまだまだ驚きを与えてくれるいい見本。難解なトリックを用いるのも本格ミステリの魅力だが、見せ方が悪ければ退屈になる。見せ方さえよければ、昔のトリックでも驚愕の結末を与えることは可能であるし、面白い作品に仕上がる。
主人公の示す恋愛の形というのも、まあ有りかな。
色々と絶賛されたり、非難されているので、今更書いてもという気がするので、これ以上はパス。
いやあ、「インターネットで選ぶ本格ミステリ大賞2006投票」の確認をしていたら、感想を書いていないことが発覚。慌てて書きました。ホント、今更です。しかし、今年の投票は厳しそう。マジック1なんだが、あまり読みたいとは思わない作品なのがちょっと。