平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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藤子・F・不二雄『モッコロくん』(小学館 ぴっかぴかコミックスカラー版)

モッコロくん 1 (ぴっかぴかコミックス)

モッコロくん 1 (ぴっかぴかコミックス)

 藤子F作品には、藤子不二雄ランドにもてんとう虫コミックスにも収録されていない学年誌・幼年誌連載作品が多くあるが、本書はその一つ。1974〜75年、「幼稚園」「小学一年生」に連載されていた。

 妖精のような虫であるモッコロくんが虫の力を借りて、ゆうちゃんという男の子を助けたり、一緒に遊んだりする。大人から見たら他愛のない話かもしれないが、当時の子供から見たらモッコロくんは一緒にいてほしい遊び仲間であり、憧れでもあっただろう。巣の中のアリ、アメンボが水に浮かぶメカニズムや、セミが成虫になる様子など、身近にいる昆虫の生態を話に絡めるのもうまい。幼年ものにふさわしい暖かさがここにある。未収録である5本も読んでみたいものだ。おっと「Neo Utopia」には2話再録されていた。

 幼年もの、カラーということもあり、今まで単行本化されなかったのだろう。小学館はよい仕事をした。ぴっかぴかコミックスには、これからもこういう作品を出版していってほしい。そのためにも、みなさん買って下さい。お願い。