- 作者: 板谷利加子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2000/09
- メディア: 文庫
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1998年1月、角川書店より刊行。
女性にとって一番屈辱的な犯罪といえばレイプなのだろう。一部の男性にとってレイプというのはもっとも燃えるシチュエーションらしいのだが、私にはちょっと信じられない。レイプものを取り扱ったAVやマンガ、小説を見ただけで気持ち悪くなってしまう自分にとっては、レイプという行為そのものに罪悪感とやりきれなさを感じてしまうのだが、別の男にとってそれはただの快楽なのかもしれない。
1996年4月、全国に先駆けて神奈川県警に性犯罪捜査係が新設された。同時に性犯罪被害110番が設置され、本書の作者である板谷利加子警部補を筆頭に3人の女性捜査員が任命された。本書は1998年3月に被害を受けた26歳の女性が、作者に当てた一通の手紙から、レイプという被害から立ち直るまでの心の交流を綴ったノンフィクションである。
レイプを受けたときの屈辱、悲しみ。さらに捜査官から受けた「処女でもないんだからいいんじゃないか」「精液反応が出ないから、本当に強姦されたかどうかわからない」などのセカンドレイプ。解説の国松前警視庁総監は「こういう無神経な暴言を吐く警察官が、そうざらにいるとは思えない」と書いているが、私はこれが今まで当たり前の警察官じゃなかったのではないかと思っている。警察は罪を犯した人を捕らえるところであり、被害者やその遺族を救済する場所ではない。長野・愛知連続4人強盗殺人事件の被害者の一人の長女は、飯田署から犯人扱いされ、長時間の取調べを受けたりするなどされている。警察による被害者や遺族たちの二次被害は今もなくなっていないのである。
本書の事件の犯人は10数件の強盗・強姦事件で起訴。求刑通り懲役20年の判決を受けた。強姦事件に対する懲役は年々重くなっているが(これすらも一部人権屋からは非難の対象になっているのかな?)、被害を受けた女性にとっては傷ついたままだろう。レイプという被害から立ち直るための活動は、これからも続いていってほしいものだ。それと同時に、レイプという行為がなくなるよう、警察は努力してほしい。