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「無期懲役判決リスト 2020年度」に1件追加。
板橋雄太被告の控訴棄却。共犯者はもう出ていますよね。板橋被告は、俺に押し付けやがって、と思っているに違いない。
犯罪の世界を漂う
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「死刑確定囚リスト」「死刑執行・判決推移」を更新。
阿佐吉広死刑囚が病死。執行されなかったのは冤罪説があったからだと思うけれど、地元のテレビ局によると7年前から治療していたらしい。
今後2,3年で相当数が病死するんじゃないだろうか……って、前にも書いた記憶がある。拘置所内でインフルエンザとか流行ったら、あっという間だろうなあ、なんて最近のニュースを見ながら思ってしまった。
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やっと更新できました。もう何を更新したのか、忘れました(苦笑)。ちなみにカウンタはまだらしいです。
今野敏『清明 隠蔽捜査8』(新潮社)
神奈川県警刑事部長に着任した異色の警察官僚・竜崎伸也。着任早々、県境で死体遺棄事件が発生、警視庁の面々と再会するが、どこかやりにくさを感じる。さらに被害者は中国人と判明、公安と中国という巨大な壁が立ちはだかることに。一方、妻の冴子が交通事故を起こしたという一報が……。(帯より引用)
『小説新潮』2018年9月号~2019年8月号連載。2020年1月、単行本刊行。
警視庁大森警察署署長から神奈川県警本部刑事部長に着任した竜崎伸也。物語は前巻『棲月』で公用車に乗って神奈川県警に向かうところから続く。着任早々東京都町田市で殺人事件が起き、警視庁と神奈川県警の合同捜査本部が町田署にできる。警視庁の伊丹刑事部長、警視庁捜査一課の田端課長、岩井管理官といったレギュラーメンバーも登場する。『宰領』で登場した神奈川県警の板橋捜査一課長も捜査に加わり、転任したというイメージがあまりわかないかと思いきや、警視庁と神奈川県警のライバル意識が所々で出てくるのは、警察小説を書き続けてきた作者ならではの腕である。
ただ、竜崎の手法を知っている人物ばかりということもあり、竜崎との衝突を繰り返しながらいつしか竜崎の人柄に心酔する、といったお約束の展開がほとんどないところが残念。せっかく新しいところに移るので、久しぶりにこのパターンが見られるかと思ったのに。せいぜい、警察OBで冴子が通う自動車教習所署長の滝口ぐらいか。これもあっさりと陥落するしなあ。他の登場人物も含め、簡単に竜崎のスタイルを信用する人ばかりなのは、ちょっとやりすぎじゃない、とも思った。その分、物語のほうはテンポよく進み、田端と板橋というたたき上げの課長の歯車がかみ合う姿が心地よいともいえるが。結末が特に気持ちよかったしね。読後感という点でいえば、シリーズNo.1じゃないだろうか。竜崎自身が愛想が悪く鼻持ちならないと言っている阿久津重人参事官(いわゆる副部長クラスらしい)が今後どう絡むか、それは次巻を楽しみにしたい。
やはり刑事部長ともなると、実際に現場を駆けずり回る捜査員とはほとんど接触がないのだろうか。今回は名前しか出てこなかった人物や、名前すら出てこなかった人物もいるが、それは次巻の、多分神奈川県内で起きた事件の捜査で出てくるだろう。着任の際に佐藤実警察本部長に頼まれた、神川県警を変える、という言葉が実現するのか、楽しみにしたい。
ただね、個人的には戸高とかも出てきてほしいと思っているわけですよ。好き放題言っているな、自分。
犯罪の世界を漂う
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いや、更新しようと思ったのですが、忍者ツールズ側の不良により、昨日からアクセスできない状態です。
矢野治死刑囚の自殺、ちょっと衝撃的ですね。過去の殺人を告白するなど、かなり気が弱くなっていたんでしょう。
ドン・ウィンズロウ『犬の力』上下(角川文庫)
メキシコの麻薬撲滅に取り憑かれたDEAの捜査官アート・ケラー。叔父が築くラテンアメリカの麻薬カルテルの後継バレーラ兄弟。高級娼婦への道を歩む美貌の不良学生ノーラに、やがて無慈悲な殺し屋となるヘルズ・キッチン育ちの若者カラン。彼らが好むと好まざるとにかかわらず放り込まれるのは、30年に及ぶ壮絶な麻薬戦争。米国政府、麻薬カルテル、マフィアら様々な組織の思惑が交錯し、物語は疾走を始める――。(上巻粗筋紹介より引用)
熾烈を極める麻薬戦争。もはや正義は存在せず、怨念と年月だけが積み重なる。叔父の権力が弱まる中でバレーラ兄弟は麻薬カルテルの頂点へと危険な階段を上がり、カランもその一役を担う。アート・ケラーはアダン・バレーラの愛人となったノーラと接触。バレーラ兄弟との因縁に終止符を打つチャンスをうかがう。血塗られた抗争の果てに微笑むのは誰か――。稀代の物語作家ウィンズロウ、面目躍如の傑作長編。(下巻粗筋紹介より引用)
2005年、発表。2009年8月、角川文庫より翻訳刊行。
ウィンズロウはニール・ケアリーシリーズの一部しか読んだことがなく、こんな骨太すぎる犯罪小説を書けるとは思わなかった(何を今更)。粗筋紹介にはアート・ケラー、バレーラ兄弟、ノーラ、カランが主要登場人物として出てくるが、それ以外にも10人以上の人物が物語を彩っていく。1975年から2004年の約30年に及ぶラテンアメリカを中心とした麻薬戦争を克明に描いていることからとても長いし、展開がゆっくりとしているのだが、それでも読者を飽きさせない腕がすごい。それぞれが時には味方、時には敵といった感じでつながるのだが、心理描写も巧みだし、多数の人物の思いと怒りが文字間から浮かび上がってくるのは見事。時間はかかったが、いいものを読むことができた。今更ながらだが。
さあ、次は続編『ザ・カルテル』を読もうか。